FOURNOTES

社長と人事の溝

会社にとって社長は意思決定者であり、常に先頭を走り続ける存在です。
それでも、いつでも正しい判断ができるわけではありません。
社長の指示や行動が会社の人事ポリシーに沿わない場合、
自信をもって「待った」をかけられる人事担当者になってください。

社長に「待った」をかけられるようになりましょう

社長とは会社の方向性を最終的に決定する、いわば意思決定者。常に集団の先頭を走り、下にいる社員たちを引っ張る存在です。社長の進む方向が会社の進む方向となるわけですが、それが常に最善の方向を向いているとは限りません。社長といえども人間。タイミングによっては判断を間違えてしまうこともあるからです。社長の指示を鵜呑みにするだけではなく、間違っていると感じたときには恐れずに「待った」をかけることも必要です。

特に、会社にとって社員というのはとても大切な存在です。そんな大切な存在に関する制度、つまり人事制度については特に慎重になるべきです。社長が急に思いついた「おもしろ人事」や経営者仲間から聞いてきたことをそのまま自社に移管しようとしている時には、恐れることなく「待った」を掛けられるようになりましょう。

しかし、これを実行するのはなかなか簡単なことではありません。皆さんも容易に想像がつくかと思いますが、社長の指示に「待った」を出すのは非常に勇気がいりますよね。そんなときには、「人事ポリシー」が盾になります。

人事ポリシーというのは人事の根幹、会社が社員に求めることやそれに対する評価方針などが記されたものです。そして、一度人事ポリシーとして定めたことは、社長といえども従ってもらう必要があります。もし社長が人事ポリシーと方向性の違うことを思いついてしまったら、「今のご指示は人事ポリシーとは方向性が違うような気がするのですが」と「待った」を掛けるようにしてください。

これは人事担当のみならず、すべての社員が出来るようになってほしいことです。「待った」を掛けられるということは、それだけ人事ポリシーを意識し、理解しているとも言えます。

例外か、それとも人事ポリシーの変更かを確認しましょう

また、あなたが人事担当だったなら「今のご指示は人事ポリシーとは方向性が違いますが」の後に「例外ですか?それとも変更ですか?」という言葉を続けるようにしてください。
というのも、人事ポリシーというのは基本的に例外を認めてはいけません。一度例外を認めてしまうと「なんであいつだけ」「あの時はOKだったじゃん」と機能しなくなってしまいます。

これを避けるために、まずは社長に「待った」をかけ、それでも社長の気が変わらなければ「今回一度きりの例外とするのか、それとも人事ポリシーそのものを変更するのか」を問うのです。そして、例外だと言われたら絶対にその時一度きりにしてください。もし人事ポリシーを変更する、との返答であれば、一度受け入れた後、次の指示を待ちましょう。社長が本気で変えたいと思っているのなら、早い段階で指示が飛んでくるはずです。

人事ポリシーというのはコロコロ変えられるものではありません。社長が本当に変えたいと思っているのか確認するためにも、すぐに取り掛かるのではなく、一度は待機の姿勢を取りましょう。

実際私も人事担当として社長の下で働いていた時には、人事ポリシーに反する社長の思い付きに何度も遭遇してきました。そんなときには三日三晩寝かせてみたものです。すると、冷静になった社長が思いとどめてくれたのか、それとも忘れてしまったのかは定かではありませんが、再び話題に上がる事もなく、波風立てずにやり過ごせました。

経営のプロである社長の判断は、ビジネスの世界では正しいかもしれません。また、外部の変化に対応した迅速な計画変更も必要でしょう。しかし、人事においては逆効果です。

社長の一声に振り回されて人事制度を変革した結果、社員の心が離れて明らかにモチベーションが低下したというケースもありましたし、人事制度の変革によって大量離職が起こったというケースも実際に見てきました。社員とは会社の根幹。そして、そんな社員のモチベーションを左右するのが人事ポリシーなのです。

あなたが人事担当なら、自分の職務に自信を持ち、人事ポリシーに沿った人事制度を構築していけるように努力しましょう。社長に「待った」を掛けるのは、その中でも極めて重要な仕事の一つです。

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