2018.10.06
人事制度の基本的な構成は「等級制度」「評価制度」「給与制度」の3つです。
面倒だからと策定を後回しにしている会社も多いですが、
社員を会社に必要な人材に育成するために、人事制度は欠かせません。
今回の記事で人事制度に意味を理解して、なるべく早いうちに策定しましょう。
皆さんは人事制度と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?おそらく社員の待遇、処遇に関する決め事や細かい労働規則が大半だと思います。そのため人事や人事制度というのは面倒なばかりで利益に結び付かない、出来るだけやりたくない仕事として分類されるのですが、この認識のままでいるのは非常にもったいないことです。なぜなら、実は人事制度は、会社にとって重要な使命の一つ、人材育成にも大きな影響を及ぼすものだからです。
何やら小難しそうなイメージがあるかと思いますが、人事制度は基本的には「等級制度」「評価制度」「給与制度」の3本柱で構成されています。それぞれについて細かく解説いたします。
等級制度というのは社員のキャリアステップごとに会社が求めている行動要件を明らかにし、各社員に目標を定めさせるためのものです。例えば同じ社員でも、入社1年目の新人と入社30年目の管理職とでは求められる役割が違ってきますよね。求められる役割や行動が分かっていれば、実現するための努力もしやすくなります。もちろん会社側にとっても、社員が誤った方向に進んでしまうことを防げるので、等級制度はぜひ策定しておきましょう。
ちなみに弊社では、
・新人クラス
・一人前クラス
・チーフクラス
・課長クラス
・部長クラス
・役員クラス
の6ステップでキャリアステップを定めることを推奨しています。
この6ステップは業界、業種、規模を問わずにほぼどんな会社でも使えますから、参考にしてみてください。
行動要件は例えば新人クラスでは「誠実な対応、ルール遵守、マナー意識、チームワーク、共感力、伝達力、継続力、創造的態度、情報収集、成長意欲・学習意欲」を設定しており、それぞれの項目に関してさらに具体的で詳しいコンピテンシーを示しています。
ここまで会社が求めていることを「見える化」出来れば、社員も今後の目標を立てやすいですよね。ただ、初めての場合だとなかなか細かく決めることができないかもしれません。そんな時にはまず、会社の人事制度の根幹を担う「人事ポリシー」の策定から始めましょう。会社として社員にどんなものを求めるのか(チームワークなのか個人プレーなのかなど)、それに対してどんな評価方針を持っているのか、など全体的な方針を示した人事ポリシーを定めることで、会社が社員に求めているものそのものが良く見えるようになると思います。
これで、各社員が会社と同じ方向を向いた具体的な目標を立てられる土壌が整いました。この際、より社員の成長を促したいのであれば、目標は社員自らに立てさせてください。やはり自主的に立てた目標に向かう方が、より成長しやすいです。自主的な目標設定を促すためには、「目標設定会議」が有効です。目標設定会議ではまず会社全体や部門の現状や足りないところを説明し、その上で自分のキャリアステップにある行動要件を踏まえた目標を設定してもらいます。
目標がきちんと達成できているかとうかは「評価制度」で測ります。社員に対しての評価を決める際には、評価者同士で話し合う評価会議を開きましょう。ここでは本人が立てた目標を達成できているかはもちろん、キャリアステップごとに会社が求めているコンピテンシーを満たせているかを判断していきます。
残念ながら、今の日本では上司の「好き」「嫌い」で評価が行われている会社がまだまだあります。これを防ぐためには、評価者同士で話し合い、評価に客観性を持たせることが必要です。時間と手間はかかるかもしれませんが、他人の意見を聞くことによって評価者自身も成長できるので、ぜひ行ってみてください。
評価会議を経て得られた公正で客観的な評価を、社員にフィードバックすることも忘れないでください。
社員が目標を達成できたか、会社が求めるものを満たせたか。これを示すための制度が、「給与制度」です。人事ポリシーに沿って会社が何に対して給与を支払うのか(能力なのか、行動なのか、勤続年数なのか)が決定したら、社員に向けて公開するようにしてください。何をすれば給与が上がるのかが明確な方が、社員のモチベーションの向上につながるからです。
「等級制度」「評価制度」「給与制度」。人事制度を整えるためにはこの3つの柱を、それぞれ役割を意識しながら構築していく必要があります。さらにその根底には、社員に対する基本方針である「人事ポリシー」があります。
これから人事制度を構築したい、今ある人事制度を作り直したい、という場合には、まず、人事ポリシーの策定・見直しから始めていきましょう。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
2009年の開講以来、述べ5000人以上の人事担当者が受講し、「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がリニューアルしました。2022年5月18日より新たにeラーニングサービスを開始。PCやスマートフォン、タブレットなど各種デバイスで受講可能となるなど、人事担当者がより気軽に学習できるよう生まれ変わりました。本記事では、「人事の学校」主宰・西尾太にインタビュー。リニューアルの理由や人事担当者の皆さんへのメッセージをお伝えします。
「自分の将来が見えない」と感じる会社に所属し続ける人はなかなかいません。
会社が評価制度を作り、求めるものや進むべき道を照らしてあげれば、
社員はおのずと努力し成長するようになります。
最近の検証で、職場に「ホーム感」を抱いている人材は、
業務でのパフォーマンスも高い傾向が分かってきました。
・「ホーム感」とは何なのか
・なぜ職場に「ホーム感」を抱いている社員はパフォーマンスが高いのか
この記事では以上の2点を解説していきます。
日本の人口の年齢別分布の現状と予想されている推移を考えると、
年功序列型の給与体系を維持するのは難しいと言えます。
年功序列型給与体系を脱却する糸口となるのが、「給与が下がる仕組み」です。
どのような基準で下がるのかを明確にする必要があります。
戦略、企画、運用、オペレーション、そして、人員計画、採用、異動、労務、評価、給与、規程、教育研修など、業務の幅が非常に広い人事職。人事担当者は、どのように学習し、キャリアを構築していったらいいのでしょうか?本記事では、新任担当者から主力メンバーになるまでのキャリア構築の方法を「人事の学校」主宰・西尾太が解説します。まずは反面教師として「イタイ人事担当者」について知っておきましょう。
会社と社員を成長させる人事の「あるべき姿」をお伝えしたい。総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆をしてお届けします。第1回は、ジョブ型の失敗例を参考に人事の「考え方」の重要性についてお伝えします。
360度評価とは、「上司が部下を評価する」という従来の評価手法とは異なり、部下や同僚なども人事評価を行う評価方式です。この手法を導入する場合、どのような点に注意したらいいのでしょうか? そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、リアルな事例から360度評価のメリット・デメリットについてお伝えします。
他の職種と同じように、人事担当者にも勉強は必要です。
とはいうものの、きちんと勉強している人事担当者が少数派というのもまた事実。
まずは通勤などの隙間時間でいいので、勉強習慣を始めてみませんか?