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人事制度を大幅に見直したいときに注意すべきポイントや構築手順とは?

2021.04.02

年功序列をやめたい、人件費を適正化したい、給与とパフォーマンスを比例させたい—。人事担当者の多くが、そんな悩みに直面しています。新しい雇用制度として「ジョブ型」を検討する企業も増えてきました。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、古い人事制度から今の組織に沿った人事制度に見直したいときに注意すべきポイントや構築手順について解説します。

重要なのは「やり方」ではなく「考え方」。流行りのキーワードに踊らされない

私たちは、人事制度の設計や見直し、運用支援といった人事コントクラションサービスを行っています。なかでもやはり多いのは「年功序列をやめたい」「人件費を適正化したい」といったご相談です。日本は世界でも類を見ないほど高齢化が進み、65歳までの定年延長も義務化されます。年収とパフォーマンスが比例しないベテラン社員の昇給を続けていけば、人件費は肥大化する一方です。来年には1億円、再来年には2億円と自然に増え続け、経営を逼迫させていきます。

旧態依然とした年功序列のままでは、若手の採用も困難になり、優秀な人材ほど離職してしまいます。人事制度の見直しは、どの企業にとっても急務といえるでしょう。

ただし、人事制度を変えたからといって、問題が即解決するとは限りません。「欧米企業はこうしているから」「グローバル化が必要だから」「他社では導入しているから」といった理由で、安易に「やり方」だけを取り入れて、後になって大きなダメージをもたらすケースが多くあります。重要なのは「やり方」ではなく「考え方」。流行りのキーワードに踊らされてしまうと、まず間違いなく痛い目に遭います。

バブル崩壊後も年功序列を撤廃する機運が高まり、欧米型の「成果主義」や「年俸制」が脚光を浴びましたが、多くの問題を引き起こし、ほとんどの企業では失敗に終わりました。今でいう「ジョブ型」の導入を試みた企業もありましたが、定着しませんでした。

これらの失敗には様々な原因がありましたが、結局「やり方」を変えても「考え方」をアップデートできなかったのです。成果主義を導入しても、実態は年功序列のまま。管理職は成果を出さなくても降格はなく、評価は常にA以上。社員に評価フィードバックもなく、成果の基準も範囲も曖昧。そんなケースが大半でした。

「あれは失敗だったよね」では済まされないのが人事という領域

しかし、「あれは失敗だったよね」では済まされないのが、人事という領域です。一度打ち手を間違ってしまうと、現場の混乱を招くだけでなく、モチベーションの低下、離職者の増加、業績の悪化など、その後、何年も残る深刻なダメージを企業に与えることになります。

人事は、5年後、10年後を見据えた中長期的な視野が必要です。人事施策が成功している企業は、会社の目指す将来像やビジネスモデルと照らし合わせた、人事に関する「考え方」をしっかりと持っています、逆に失敗してしまう企業は、「考え方」をしっかりさせる前に「やり方」に走ってしまいます。

たとえば、ジョブ型は「人」ではなく「職務」に値段をつける制度です。年収1200万円の営業部長を年収1000万円の人事部長に異動させたら(そもそもジョブ型はこれを想定していませんが、現実としては起こり得るでしょう)、年収が200万円も下がります。本当にそんなことができるでしょうか。様々な部署を経験させる人材育成も難しくなりますが、それで問題ないでしょうか。あるポジションが不要になったら、その担当者には退職勧奨をするのでしょうか…。ジョブ型を導入するのなら、こうした問題をあらかじめ考えおかなくてはなりません。これは、どんな制度においても一緒です。

コンサルのご依頼を受けて人事担当の方にお話を伺うと「上から言われて…」というケースが多くあり、何を変えたいのか、どのように変えたいのか、会社としての「考え方」が曖昧なことが少なくありません。人事制度を変えるのなら、人事部だけでなく、経営者をはじめとした人事に関わるすべての人と議論し、まずは会社としての「考え方」=人事ポリシーを明確にすることが最優先です。

人事ポリシーを明確にして、評価と運用のイメージを考える

人事制度を構築すること自体は、それほど難しくありません。3〜4ヶ月もあれば作れますが、定着するには1〜2年かかります。経営や現場から苦情も来るでしょう。見直すべき点は見直さなくてはなりませんが、会社としての「考え方」をころころ変えると、現場はますます混乱します。まずは人事ポリシーをしっかりと定め、すべての人事施策がこのポリシーに基づいた一貫性のあるものにしなくてはいけません。

どのような人材を求めるのか、何を基準に社員を評価するのか。成果か、行動か、それともやはり年功や勤続年数か、あるいはジョブ=職務か。成果や行動で評価するなら、その基準や範囲も決める必要があります。評価基準を決定したら、社員のキャリアステップを描き、それに沿った給与制度を作ります。

人事制度はこのような手順で構築しますが、制度は運用できなければ意味がありません。人事制度を作ったら、社員にわかりやすく説明します。評価者には評価者研修、社員には各キャリアステップ要件や目標設定の研修を行います。目標設定会議や評価会議の運営方法も考え、管理職と共有する必要もあります。

人事施策で最も大変なのは運用です。定着するまで何年もかかりますし、作るのが簡単だからといって安易な制度を入れてしまうと現場の混乱を招き、それを修復するには莫大な時間がかかります。フルモデルチェンジをするのなら、細かな補修はするとしても、10年は運用できるものを目指しましょう。そのためにも人事ポリシーを明確にし、経営陣と共に覚悟をもって評価と運用を行っていくイメージをしっかり考えることから始めてください。

超ジョブ型

テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準

会社になくてはならない、
将来を支えてくれる存在が、
「自分は評価されていない」と
感じ会社を去っていく。

このシチュエーションはここ10年で過去にないほどよく見かけるようになりました。

人事ポリシー

「いい人が採れない」
「社員が自ら成長してくれない」
「大切な人が辞めてしまう」
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多くの企業は「重要な人材」に限って辞めてしまうと嘆きます。
それは、当然のことです。「重要な人材」は優秀ですから、あなたの企業のある事に、一番最初に気が付きます。だから、辞めるのです。

評価基準

ー「なぜ、あの人が?」
多くの企業は「重要な人材」に限って辞めてしまうと嘆きます。
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